序章

「コンコン」
と言う音でこの小説は始まる・・・
主人公であるアーノルド・クルーセイドは元気な声で
「ハイ。」
と答えた。
ドアの向こうにいる『相手』はドアを開け
「アーノルド・クルーセイドはいますかな?」
「ハイ、私になにか?」
「国王がお呼びです。あなたに会いたいと・・・」
「なっ、国王が私に?」
クルーセイドは驚いた。一般市民の自分に、国王が会いたいと言うのだ。
クルーセイドは少し考えて
「わかりました。では急いで準備します。」
と答えた
「いや、準備なんてしなくていい。とにかく急いでくれ。」
この言葉にクルーセイドは一瞬頭が
「?」
となったが頭の中を整理して
「はい。」
と答えたが
「そうだ親父に言わないと。」
と思い出して振り返ったら、真正面に『親父』がいた
「話は聞いた。だが、なぜ国王がこいつに会いたがってんだ?」
「それが知りたいのならあなたも一緒に来ないとわかりませんね。」
となぜか、ちょっと皮肉っぽく言った
「ふん、だったら行ってやろう。セイド、お前も来い。」
セイドとはクルーセイドの略称である。
「あ・・・ああ、わかった。」
「では急いで国王の所に行きましょう。」
三人は走って王宮へ行った。国王に会うには面倒な手続きが必要だが
全てこの『勧誘人』(?)がやってくれたらしい。何十分か走ると王宮に
着いた。
「ではここから階段を登って行きましょう。」
平然といったが国王の所までは10階近くあるのだった・・・
3階に着くと
「一回、休ませてくれ〜」
と、セイドは悲鳴を上げた。だが、親父(『ソルジャー』)は
「この程度で弱音を吐くな!」
と怒鳴った。
なので休ませてはくれず、あとの2階を何とか登っていった。
「ご苦労だったな。」
と言ったのは、国王の『アーミィ』である。
「相当疲れているようだな。休まずにここまで来たのか?」
「はい。しかし、自力で立てるようです。」
『勧誘人』が言った。
「ならば話はできるだろう。クルーセイドよ、君に参加して欲しい物がある。」
「ハァハァ・・・何でしょうか?・・・」
今にも倒れそうだが・・・というより座っているので、そこまで体力は失われない。
「うむ、連れの方にもやってもらうが・・・」
「なにをだ?」
「戦だ。」
あまりにも簡単に言ったので、一瞬呆気にとられた。が、すぐに考え直し
「戦をなぜ我らがやらなければならない?」
ソルジャーはこう聞いたが、すぐにアーミィが
「もちろん、お前達が必要だからだ。我がセイクレッドが聖地、ホーリーを奪い返すためにな。」
「聖地を取り返すためなら仕方ない。セイドもやるだろう?」
「ああ。だが、ホーリーを領地としているイモータルは強国だと聞くけど。」
イモータルとは『不死の』という意味。その名の通り今までの戦いの中で負ける
ことはあっても何百年という間、滅んだことはない国なのだ。
「たとえ、強国だろうが何だろうが、過去に非常に栄えた聖地を取り戻すためだ。国を挙げての大決戦になっても、やり続けるつもりだ。」
「じゃ、参加しよう。親父もやるよな?」
「おう。もちろん。」
「決まったな。ではお前達を俺の一部隊に入れよう。来週には出発する。それまでに戦準備をしておけ。」
「わかった。」
と二人同時に言った。

始まり

戦準備

「パカラッパカラッ。」
「ふん、ずいぶんとのんびりしているな。そんな余裕などないだろうに。」
イモータルの将、ジミーは言った。偵察に来ているのだ。
「まあ、よい。この華やかな都市を焼くのか・・・気に食わないが、将軍の御命令
だから仕方ないか・・・」
ジミーはそれほど位が高いわけではないので、将軍の命令は絶対、命に代えてもそれをなしとげなければならない・・・ジミーも大変なのだ。
「・・・よし。火計工作の準備をせよ!今週中に焼くぞ!」

「はっ。」

「戦準備って、何をすればいいんだ?」
とセイド(クルーセイドの略称)は言ったがソルジャーは
「もちろん、武器と鎧等の防具、食糧をそろえればよいのだろう?」
と即答した
「ま、この広い都市なら武器屋ぐらいあるだろうな。」
「・・・たしかに・・・」
セイドが納得するのも無理はない。とにかく広いとしか言いようがない程広いのだから。
「地理についてはまったくわからんからな、だがセイドも地理には詳しくなかったからなぁ・・・仕方ない、適当に歩いていればそのうち・・・」
「なに考えてんだよ。王宮まで行って地図をもらってくればいいんじゃないか。」
「なるほど。その手があったか!」
と、手をポンと叩く。地図を使うということなど頭にはなかったようだ・・・。
天守閣までは歩いて戻った。
「お、あそこの奴に聞いてみようか?」
と、ソルジャーが尋ねるがセイドは
「いや、あの人は知らないと思う。」
セイドは人を見る目がある。ソルジャーもこのことを知っているので反論はしなかった。
「じゃ、あいつはどうだ?」
王宮で働く役人に対して、『あいつ』、や『奴』という代名詞を使うのは無礼だろう。
「知ってると思うけど・・・けっこう、若くないか?」
セイドが言うのも無理はない。なんせ歳がセイドと同じくらいだからだ。
「おい!そこの役人!」
役人・・・フィル・ギフトは誰だ?と思った。とりあえず
「何か用ですか?」
と答えた。
「ここに地図はないか?」
セイドが聞いた。ギフトは一瞬だけ驚いた。1年前、共に戦った仲間だが、重傷を負い、今も治療中だと聞いていたからだ。
「セイド、いいのか?外に出て?」
こう言われてやっとセイドは気づいた。重傷ですぐに近くの家に飛び込んで、自力で傷を治療したので、ギフトのことなど、忘れかけていたからだ。
「あ・・・ギフトか!」
「ああ、でセイド、いいのか?」
「大丈夫だ。飛び込んだ家に特効薬とかあったんでな。」
「そうか。よかった。で、地図が欲しいって言ってたな。」
「まあ、なにしろ、この都市は広いから。」
「でも、そんな遠くへ行ってどうする?」
「武器とかを買うのにな。」
「セイドになんで武器が必要なんだ?」
「国王から部隊に入れっていわれたんでね。」
「!!?国王が?そんなことを?」
ギフトがかなり驚いている。
「ああ、だから武器が必要なんだ。」
「・・・わかった、なら地図をやる。」
と言って、懐から地図を出した。
「ありがと。じゃ武器買いに行くか。」
「ちょっと待て。俺も入れさせてくれないかな?」
ギフトが聞く。そんなことはまず、国王に言うべきだが・・・。
「いいけど・・・国王が許してくれるか?」
「大丈夫、国王は俺の力を認めてくれてるから。」
「そう・・・でも一応言った方がいいぞ。」
「じゃちょっと待っててくれ。」
そう言うと風の如き速さで階段を登っていった。
「ああ。」
セイドは呆気に取られて言った。
数10分後、ギフトは戻ってきた。
「いいってさ。よし行こうぜ。」
「ああ。」
セイドとソルジャーは声をそろえて言った。
「あ、そうだ。国王が、この都市に敵の工作部隊が入ったって言ってたな。」
「なら、早く武器を買ってそいつらを倒さないとな。」
とセイドは言う。
しばらくしてセイド達は武器屋に着き、セイドは剣、ソルジャーは薙刀、ギフトは槍を買った。
・・・夜、今宵は満月で、その月明かりは世の全てを照らし、今、まさにジミーの工作部隊の隠れ場所をも照らしていた・・・。
「ん?あいつらあやしいな。」
セイドが『人を見る目』で見て判断し、言った。この暗い中でも見えるようだ。
「確かにあやしいっちゃあやしいが、いきなり斬ることはできんからなあ。」
「なら確かめてみようぜ。話しかけてその反応を見よう。」
と、ギフトが言うが
「こっちがあやしまれて斬られたらどうすんだ?」
とソルジャーが疑問を持った。
「斬られたら?相手は剣をさやにしまってるんだから剣に手をかけたときに斬ればやられずにすむぞ?」
「・・・そうだな、じゃあ俺が話しかけてみるか。」
そう言って『あやしい奴』に近づく。
「やあ、こんばんは。」
と、どっかにいそうな陽気なおじさん風に話しかける。
「お・・・おう・・・」
と『あやしい奴』は困ったように返事した。
「じゃあな。」
ソルジャーはそう言ってセイド達の方に戻ってきた。
「やっぱり奴は工作部隊の兵だな。」
ギフトは確信した。
誰だっていきなり「やあ、こんばんは。」なんて言われれば、ああ答えるしかないと思うが・・・。
「だが、いきなり斬っては、他の工作兵の居場所もわからなくなるだろう。」
「そりゃそうだ。背後から刃を突き付けて聞こうか。」
ギフトがおそろしいことを平然と言った。
「それはいい。じゃあ、その役は私にやらせてくれ。」
セイドがやりたがっている。
「いいが、勢いつけ過ぎて刺すなよ。」
「そんなミスはしない。」
と言って『あやしい奴』に近づく。
ガシッとセイドは相手の手を取り、その手で相手の剣を抜き落とした。そして剣を突き付け
「仲間の居場所を言え・・・」
と小さな声で聞いた。相手はあっさり
「ここを真っ直ぐ行って大木がある・・・そこに数人・・・」
と言った。セイドは
「他には?」
と聞いたが
「もう・・・他の所には居ない・・・」
と言う。
「わかった。お前はもう用無しだな。」
とセイドが言った。相手は当然、自分は殺されると思っている。
「死ね・・・」
と、セイドが小さな声で言うが、実際には刺しても斬ってもいない。相手に自分は死んだと思わせて気絶させたのだ。
「良し。ここから真っ直ぐ進むぞ。」
「おう!」
そして、大木の近くに誰かがいることを確認した。
「やつらだな。斬り込むか?」
ソルジャーが聞く。セイド達は小さい声で
「もちろん。」
と即答した。