終わりない終焉
決闘
「ザクザク・・・」
雪をかき分け、ゼロスはやっと見付けた。
「・・・やっとだな、ソルジャー。」
ソルジャーは、鎧を脱いでいた。
ただの真っ黒い服を着ていた。
ゼロスも、鎧を脱いだ。
仮面付き兜もである。
「やっぱ、いい顔してんなあ、兄貴。」
ゼロスの顔は、けっこう渋く、格好良かった。
「今更何を言う。さあ、お前のやりたがっていた決闘だ。」
ゼロスは奇妙な槍を構えた。
「そりゃブリューナクか?」
ソルジャーは薙刀を持っていなく、代わりに剣を持っていた。
大きく歪曲した剣。
「そういえば、お前も持っていたな。」
「ああ。アンサラーだ。かまくら族が作ってくれたんだ。」
「そうか。」
「・・・この後、かまくら族はどうなるんだ?」
「さあな。この先のことなど、私には関係ない。」
「決闘だからな。さーて、やるか、兄貴!」
「ああ!」
片手でアンサラーを振り上げ、ブリューナクを叩きつけた。
ゼロスはそれを払い、ソルジャーへ五つの穂先を走らせた。
アンサラーでそれを防ぎ、一旦後ろへ下がった。
「兄貴は強いな。俺と比べれば、同等かな。」
「私は兄だぞ。お前よりは優れている。」
二人共、笑いながら言っていた。
その姿は、ただの兄弟だった。
「やれやれ。なんで決闘やってんだか。」
「知らん。一族に伝わる伝統だそうだが。」
アーノルド一族は、兄弟は決闘をするという、謎な伝統があった。
恐らく、元はクロース関係だろうが、そんなことはどうでもいい。
「どうせ俺はセイクレッドの人間だ。イモータルが生かしてくれるか?」
「いや。反逆の種だ。地面を掘ってでも取らねばならん。」
どちらにせよ、ソルジャーは死ぬことになるのだ。
なら、伝統で死んでやろう、ということである。
「休んでしまったな。いくぞ。」
ゼロスは槍を横に振るった。
ソルジャーは剣の歪曲を利用して受け流し、ゼロスの懐へ走った。
ゼロスは懐へ入れまいと、ソルジャーを蹴った。
ソルジャーは一旦止まったが、すぐに剣を振った。
ゼロスの右腕を斬る。
ゼロスはソルジャーを殴り、一旦離れた。
ソルジャーは休む間もなく向かって来る。
ゼロスの槍は、確実にソルジャーの右腕を刺していた。
だが、ソルジャーはひるまなかった。
右手に握られたアンサラーは、ゼロスの右腕を再び斬った。
傷はかなり深いはずだ。
ゼロスはブリューナクでソルジャーを叩きつけ、体当たりした。
二人は倒れた。
ソルジャーはゼロスを殴り、なんとか立ち上がった。
「ハア・・・じゃ・・・次で終わりな。」
「・・・ハア・・・ああ・・・。」
ゼロスが言い終わると、間髪いれずに、二人共走り出した。
ソルジャーはアンサラーを投げ、ゼロスはブリューナクを前へ向けた。
二人共、同時に互いの武器が刺さっていた。
そして、ソルジャーが先に倒れた。
続いてゼロスも倒れる。
「終わったな・・・。やっと・・・。」
ソルジャーは、仰向けになりたかったが、できなかった。
「ああ。・・・もう・・・。」
ゼロスはそれ以上、言葉が続かなかった。
兄弟は、雪に覆われていった。
天から落ちる雪が、止むことはなかった。
死
「ザクザク・・・」
セイドは、ソルジャーを探して城外へ出ていた。
兄も死んだ。テラーも、ヘイムも・・・。
「親父は死なないと思うけどな・・・。」
口にしても、心配なのは変わらなかった。
積もった雪から、一本の棒が出ているのが見えた。
近づくと、その棒は槍だった。
そして、見えた。
「親父・・・ゼロス・・・。」
ゼロスも、敵とはいえ伯父だ。死んでうれしくは思わない。
「はあ・・・皆死んでしまったな・・・。」
セイドは天を仰いだ。
雪が顔にかかるが、気にもならない。
「セイクレッドが滅びるとはな。私の唯一の間違いだったか。」
そんなことは思っていなかったが、何故か口にしていた。
「私だけ生きていても仕方ないな。誰が殺してくれるのか・・・。」
セイドはそこに座り込んだ。
時間の感覚がなかった。
何時間経ったのか、なんて気にならなかった。
セイドの肩に雪が積もっていった。
「私は雪で死ぬのか。それもいい。」
肩の雪を払おうともしなかった。
ダーンと、鳴り響く音がした。
セイドの体を貫くものがあった。
「ふ・・・私を殺すとはな。なんともありがたいことだ。」
死が近いので、早口で言った。
再び鳴り響いた。
もう、セイドは口も聞けなくなった。
その顔は、アーミィと違って微笑んでいた・・・。
「・・・一発で殺れなかったか。まあいいか。」
その影は、突然の吹雪に姿を消した。