濃霧城の戦い(城内)
血だらけご一行様
「タッタッタッ・・・」
城内へ進入し、城下町にも伏兵はおらず、快進撃を続けていた。
「これこそ、何か策がありそうだな。」
セイドが言った。
「何で、そう疑うんだ?せっかくこんなに進んでいるんだから、どんどん進もうぜ。」
「無鉄砲だな。まあ、疑いすぎも悪いか。」
納得している。
騎士団は先に行っているが、伏兵にはあっていないようだ。
もう、城下町を越え、宮内になだれ込んだ。
白兵戦となったが、敵の兵数は少なく、セイド軍は楽々と勝利した。
「こうも簡単にいくのは・・・やはり、何か策があるな。」
エドワードまでがそう言った。騎士団はセイド軍とは違う方向から攻めている。
だが、そんな心配をよそに、どんどん進み、多数の敵が待ち構えており、激戦となった。
「ここに多くの兵がいるようだが・・・まだ、敵軍には兵に余裕があるだろう。」
セイド軍はどうなっているか、見てみよう。
「敵兵の姿が一人も見えないな・・・。」
人の気配が何も感じられない。無人のようだ。
「アウトロー、後方を見てこい。伏兵がいるかどうかを。」
「わかった。じゃ。」
アウトローは後ろを向き、走っていった。
「よし、我らはこの辺一帯を調査し、伏兵がいるかどうか調べる。」
兵は散って、それぞれ適当な所を探しに行った。
しばらくして
「セイド、伏兵はいないぜ。」
と、アウトローからの報告。
「将軍、伏兵は見当たりません。」
という報告が数十回。
「やれやれ、伏兵はいないのか。」
取り越し苦労だったようだ。
いや、伏兵はいた。
「後方から敵軍です!」
伝令が言った。
「後方に敵はいないんじゃなかったのか?」
「俺は見てないって。」
「しかし、本当にいるんです!」
敵軍の姿が。
「本当のようだな。・・・退くぞ!遅れるな!」
敵軍も速い。すぐに追いつかれた。
「迎撃しろ!この程度の敵でうろたえるな!」
「この程度」と言っても、六万はいる。セイド軍のほぼ、二倍。
「後方からも敵か!」
セイド軍は挟撃された。
「我らには濃霧半島攻略という目的がある!奮起しろ!」
セイドの激励で士気上昇か。敵は返り討ちにあってしまった。
返り血を体中に浴び、なんとも恐ろしい姿になったセイドが、剣を握り締めている。
敗北
「ドドドドド」
騎士団は敵を探して宮内を走り回っている。
「何っ?クルーセイド殿が苦戦している?わかった。すぐに行こう。」
エドワードはセイド軍の救援に急いだ。
「クルーセイド殿、救援に来ましたぞ!」
「おお、援軍か。」
もう、宮内には血の川が河となって流れている。死体も数知れず。
「よし、このまま押し返せ!」
敵軍は簡単に押し返され、全滅。
ただ一人、生き残った。捕まっているが。
「お前がこの軍の将か?」
セイドが聞いた。
縄に縛られていて、動きにくそうな相手は
「そうだ。」
と答えた。
「ならば、お前を斬れば、濃霧半島を攻略したことになるな。」
「・・・・・・・・・思い出すなあ、あの日を・・・・・・。」
敵将はぼそっと呟いた。
あの日。この濃霧半島に出来た国、その国の最高位の軍師となったこの敵将、ドリズルは、目の前で王を斬られ、仕方なく降伏したのだった。
「ミスト・・・すまない・・・。あやまることしかできないが・・・・・・。」
ミストとは濃霧半島の国の王の名である。
アーマメントの王、グローリーは言った。
「・・・・・・ドリズル、どうすればいい?俺はどうすればいい・・・・・・?」
「私は答えられない。その答えは、自分で探すべきだ・・・・・・。」
ドリズルも悲しみは大きいが、こらえているのだ。ミストは潔く、大軍相手に戦った。それを悲しんではならない、と感じたのだ。
「ドリズル、俺のもとへ来てくれ。未熟な俺を鍛えてやってくれないか・・・・・・?」
「なら、私にこの濃霧半島の守備をさせてください。私は・・・・・・この地を離れられません。」
「わかった・・・。俺のもとへ来てくれるのか。・・・・・・よかった。・・・ミスト、俺は・・・・・・・・・。」
「グローリー、私と誓ってください。・・・・・・我が王・・・と私とグローリーで、この地を守ることを・・・。」
「わかった。誓おう。俺のこの剣を捧げる。これは我が家宝だ。」
「では、私はこの兜を。これは私が王よりもらったもの。」
二人は剣と兜を掲げ、誓った。
「・・・・・・・・・・。」
「どうした?何を泣いている?」
「・・・・・・守れなかった・・・・・・。・・・この地を・・・・・・。」
「・・・・・・お前にも、守るべきものがあったんだな。・・・・・・。」
セイドは剣を下ろした。
「セイド!何やってんだよ。濃霧半島攻略が目的じゃなかったのか?」
「そうだが・・・・・・、私にこの者は斬れない。」
「何をやっている?斬るなら斬れ!」
「しゃーねーなあ。エドワード、どう思う?」
と、アウトローが振り向く。
「私は斬らない方に賛成だな。」
「やれやれ、わかったよ。」
アウトローはあきらめた。
「私を斬らないのなら・・・・・・協力してやろう。・・・これは・・・・・・王と誓ったときにくれられた剣だ。・・・・・・これを王に見せれば、なんともなろう。」
「ありがとな。よし、エドワード将軍、この剣を持って、グローリーのところまで持っていってくれ。休戦するように頼んでな。」
セイドはドリズルが渡した剣をエドワードへ渡す。
「わかった。」
エドワードは休まずに、走っていった。馬は宮内にはいない。階段を登るとき、前方の兵が転んだからだ。