初陣
火計阻止
「スタスタ。」
という音を立てセイド達が近づく。
工作兵は振り向いた。だがその瞬間、体に血が付くのがはっきりとわかった。仲間の必死に生きようとして発する声が聞こえる。
「消えろ!」
ソルジャーの薙刀の一振りによって、残った者は死んだ・・・
「これしかいないのか?」
と、ソルジャーが勝ち誇ったように言う。
「どうやらそのようだな。・・・でもこいつらの将は?この死体の中じゃないよな?」
セイドがわかりもしないことを聞く。
「わかるわけないだろ。」
と、ギフトが当たり前のことを言う。
「何っ、第1工作部隊がやられただと?」
ジミーが驚く。
「一体誰がやったんだ?」
「わかりません。おそらく、アーミィの部隊でしょう。」
「もう、我々の存在を知ったのか!・・・これからどうするか・・・このまま火計工作をやっていてもじきにやられる・・・しかし退却すれば、皇帝に・・・ヘタすれば首をはねられる・・・はぁ・・・。」
ジミーは困惑していた。そして疲れていた。・・・なんせ、イモータルの皇帝、グロウは一回程度の失敗なら許してくれるやさしい人間だが、既にジミーは一回、失敗をやらかしたばかりなのだ。
「仕方ないな・・・やるだけやってから退くか・・・」
ジミーが悩みに悩んで、やっと答えを出した。
「・・・よし!全工作隊に知らせよ!急いで火計工作に移るようにな!」
ジミーが答えを出してすっきりしたのか、元気になった声で言った。
「はい。」
兵士が言う。そして、他の工作部隊の居る所へ走っていった。
「う〜ん・・・どこにいるんだろ?」
セイドが聞くが
「知るか。」
と、ソルジャーが即答する。
「ん?」
「どうした?」
「・・・いや・・・何か足音がしたような・・・」
ギフトは工作兵の足音を聞いていた。
ザッ、と工作兵が足を止める。
「!囲まれた?」
ギフトが言った。もちろん、そんなことは、セイドもソルジャーもわかっている。
「貴様らだな?第1工作部隊を全滅させたのは。」
「ああ、そうだな。・・・で俺達と戦うつもりか?」
ソルジャーが言う。だが、たったの3人で20人程の敵を、しかも、あと5、60人もいる敵兵を倒すのは無茶だろう。
「ふん、たったの3人で何ができる。かかれ!」
敵兵の隊長らしき人物が言う。敵兵がセイド達に迫ってくる。だが、敵は剣を振るうことなく、血の雨を降らした・・・。
「!、国王!」
そう叫んだのはギフト。
「まったく。お前達は無茶をする・・・」
馬に乗ったアーミィが呆れたように言う。アーミィの供の兵士は
「国王。いいのですか、我々だけで。」
と聞く。ほんの数人しか兵士はいないのだ。
「よい。セイド達もいるのだから充分だ。」
そう言っている間も敵は来ている。
ジミーは
「もうよい!火計は失敗だ!」
と叫んで逃げていった。
「やはり火計工作のために侵入していたのだな。」
「追いますか?」
「よい。それよりも明後日には出発する。準備を整えておけ。」
「はっ。」
「国王。私たちは?」
セイドが聞く。すると
「そうだな・・・よし、お前達は先鋒隊に入れる。明日の昼には出発するからな。」
そう言って、王宮の方に歩いて行った。
「ザッザッ。」
と足音を立てて先鋒隊が進軍する。
ひまなのでセイドが空を見上げて
「雲1つ無い、開成の空だなあ。」
などと平和ボケしたようなことを言う。
「何言ってんだよ。」
ギフトが言うが、セイドは
「いいだろう。ひまなんだから。」
確かに、ただ歩いているだけというのもひまだが戦を前に緊張感の無い・・・。
「・・・でも、この道には分かれ道ってものが無いのか?さっきから、一本道が続いてんだけど・・・」
この道の両端は険しく、とても登れるようなところではないのだ。そんなところに道があるわけがない。
「お〜い。この先に敵城の守備隊がいるぞ!戦闘準備に入れとよ!」
「よし。戦だ!やるぜ!」
ギフトがやる気マンマンになって言っている。
「なんで、そんなにやる気なんだよ?」
「昨日、あんまし殺(や)れなかったからな。」
なに言ってんだこいつは、とセイドは思った。
「来たぞ!やれ!」
と奥の方で声が聞こえる。これを聞いてギフトが
「よっしゃあ!みんな、いくぞ!」
と叫ぶ。
ワーっと、兵士が前へどんどん進んでいく。若干、流されるようにセイド達も進む。
前線に来たときには、もう多くの敵兵は死んでいた・・・
「あ〜あ、もっと早く来ればよかった。」
と、ギフトが後悔したように言う。
「まあまあ、残った奴らを倒せばいいじゃん。」
セイドが慰める。これを聞いて、すぐにギフトは敵兵に向かって走っていった。
「お〜し。俺らも行くぞ!」
「おう!」
セイドはそう返事して、走っていった。
さっきまで開成の空だったのに、今は血の雨が降っている・・・
「無駄だ!」
と言ってソルジャーは敵兵の剣をはじき返し、斬り捨てた。
「なんだ。これだけか・・・」
セイドは物足りないようだが、ギフトは一応、満足のようだ。
「よし。皆、少しの間休憩だ!」
先鋒隊の将が言う。これを聞いて兵士達はだらだらとし始める。
「おーい!敵の増援が来たぞ!それも、相当な数だ!」
「何っ、おい!皆、戦だ!構えよ!」
将が命令する。
「敵将はジミーです!」
と、間者が言う。言い忘れてたようだ。
「ジミー?あの逃げ出したジミーか?」
と、ソルジャーが聞く。:
「なら、いいじゃないか。ここでジミーに勝てば、ジミーは降伏するか、罪を問われて刑罰を受けるかどっちかだからな。」
セイドが言うが、その間に敵の増援が来る。その数は4000程。
「弓兵。射よ!」
と、隊長が命令する。敵兵はかまわず走ってくる。
「おっしゃあ!いくぜ!」
ギフトが命令する。別に隊長格の者ではないのに。
ソルジャーが薙刀を振り回しながら、敵に突っ込んでいく。
「おらおらぁ!貴様らごときに俺が止められるかぁ!」
この一言に、敵は逃げ腰になった。
「よし。これを機に突撃しろ!」
将が言っているが、兵士はその前に突っ込んでいた。
さっきの血の雨と比べると、今回は本降りのようだ・・・
先鋒隊はほんの1000程度の兵力だったが、4000の兵に勝ってしまった。
「おーし。この勢いに乗って、城を落とせー!」
将がなにやら叫んでいる。兵士はそんなことは聞く前に行動している。
城内には兵がほとんどおらず、簡単に落とした。だが、ジミーと200人程度の兵は、すでに城から逃げ出していた。
「ちくしょう。ジミーだけでも討っときたいのに・・・」
ギフトが欲張りなことを言っている。
一本道