マングローブの林の戦い
撤退
「ダダダダダ・・・」
敵軍が撤退している。それを、セイド、ブライト軍が追撃しているのだ。
敵軍は林の中へ入っていった。
「あ、コラ!待ちやがれー!」
アウトローの叫びも届かず(?)、敵軍は止まらない。いや、もう、見えない。
「仕方がない。あきらめるか。」
セイドが言った。
ここまで追撃するとなると、後方が心配なので、ブライト軍は後方の守備をしてくれている。攻撃もしているが。
「林の中となると、騎士団は余り使えない。エドワード殿、すみませんが、ブライト軍と合流しに戻ってください。」
「わかった。戻るぞ!」
騎士団は砂ぼこりを上げながら去っていった。
「アウトロー、先に行ってくれるか?私は兵の収拾をしなければならないのでな。」
「はいはい、わかりましたよ。」
アウトローは自分の一団をまとめると、林の中へ歩いていった。
セイドはチェリーと協力して、軍をまとめていた。アウトローの一団よりも人が多いので、時間がかかる。
「ここは何だ?木が生えてんのに、地面に水があるぞ。ここは沼なのか?」
アウトローは文句も兼ねて、疑問を言った。
「よし、まとめらてたな。アウトローは帰ってきてないが、入ってみるか。」
セイド軍は林の中へ消えていった。
ここはマングローブ。管理人の私が、個人的に好きなんです。淡水と塩水の混ざっている場所。
アウトローの一団は、こんなに暑い所に来たことがない。汗をダラダラと流しつつ、マングローブの林の中を歩いていった。
マングローブののしかかってくるような威圧感に圧倒されながらも、ズンズンと力強く進んでいった。それについては、セイド軍も同じだ。
「あっつ〜。あ〜。」
アウトローである。そんなに暑い暑いと言っても、急にこの辺に吹雪が吹き荒れるようになるわけがない。
「隊長〜、待ってくださ〜い。」
一団の一人が言った。アウトローとかなり距離がある。
「そんなに遅いのか。早く動け。」
「へ〜い・・・。暑〜。」
暑いと言われると余計に暑くなる、と、アウトローは思ったので、それからは、暑いと言わなくなった。
一瞬、木に陰が見えた。そこら辺が陰なのだが、それらの陰とは形が違った。
「ん?今のは何だ?」
「たっ、隊長!伏兵です!」
「何っ!」
既に一団の周りは、敵兵によって包囲された。
「面倒だなあ。これくらいなら、簡単に片付けろ!」
「はっ。」
敵は反撃されるとは思っていなかったようで、さっさと逃げていった。
マングローブ混乱
「バシャバシャバシャ・・・」
いや、水遊びの音ではない。マングローブの水が深くなってきたのだ。
「あ〜くそっ!進みにきぃな。」
アウトロ−の一団のひざから下は、全員濡れている。
「伏兵も出てきたしな。火計もありえるかもしれねえ。用心しろ!」
私の愛してやまないマングローブを焼くなど・・・!そんなこと、絶対にさせん!
というか、戦中に用心しない奴がどこにいる。
「やれやれ、深くなってきたな。アウトローはまだいないようだが、チェリー、もういい。これ以上進むと危険かもしれない。マングローブから出てくれ。」
セイドが言った。
「はい。でも、セイドはこのまま行くんでしょう?」
「ああ、そのつもりだ。敵軍の殲滅が目的だからな。反抗するなら、徹底的に潰す。さ、兵もつけるから、早く行くんだ。」
「は、はい。じゃあ、また後で。」
「ああ。」
チェリーはマングローブから出て行こうとして、振り向く。そして、歩きにくそうに戻っていった。
「よし、我らはこのまま進むぞ。」
どんどんマングローブを進んでいるが、伏兵が途中に何人かいるだけで、たいして戦うこともなく、マングローブから出て行くしかなった。
「収穫ゼロか。まあいい。騎士団に合流するぞ。」
セイドの命令で、走ることになった。けっこう疲れているようで、脱落者(?)多数。
「・・・ここで一時休憩だ。だが、油断はするなよ。」
兵達は地面に寝っころがる。水の上にではなく、木の近くに少しだけ地面があるのだ。剣を置いたりもしている。油断しまくりではないか。
当然、これを狙わないわけがない。撤退した敵軍は、マングローブに身を潜めて、この時を待っていたのだ。
「敵が攻めてきます!」
と報告されて
「やれやれ、アウトロ−、お前の一団で何とかできるだろう。私も出るから、戦ってくれ。」
「いいぜ。その代わり、休憩時間延長な。」
「わかった。よし、行くぞ!」
アウトロー一団とセイドが敵軍に向かって突撃した。敵軍もこれは予想していなかったようで、混乱した。
「このくらいなら楽勝、楽勝!」
本当に楽勝で、敵軍の殲滅に成功した。
「よっしゃあ!これで休めるぜ。」
戦う意味を履き違えているようだが・・・。
充分すぎる休憩をとり、セイド軍はブライト軍と騎士団との合流を目指して、走っていった。