参謀

追撃劇

「タッタッタッ。」
全力で、逃亡したジミーを追う。
「ハァハァ・・・まだ追いつかないのか。」
とセイドが疲れた様子。ギフトやソルジャーも、疲れているが・・・。
「ん?ジミー軍が止まってる?」
と、セイドが少々驚いている。
「ならいいじゃないか。後方から奴らを叩き潰す!いけー!」
ソルジャーが、将でもないのに命令する。
だが、この言葉に、兵士は突撃し始めた。セイド達も遅れないよう走る。
「なぜ、ジミー軍は止まっているんだ?前方に何かあるのか?」
と、セイドは言って、敵陣を駆け抜けていった。
ソルジャーはこれを見て
「よし。俺も遅れんぞー!」
と叫んで、敵を切り裂きながら走っていった。
もちろん、これを見てギフトも
「俺だって、それくらい出来る。いくぜー!」
と敵陣に突っ込む。
だが、この行動のおかげで、セイドは死なずにすんだのかもしれない。
しばらく進むと、敵は途絶えていた。そして、前に、人が2人いるだけだった。
「?まさか、この2人がこの軍を止めていたのか?」
と、セイドも驚いてしまう。しかも、その2人とは女性で、片方は武器を持っていなかった。
セイドはその2人に駆け寄る。追いついたソルジャーとギフトも、これについて来る。
「私達に近寄って・・・生きれると思う?」
と、武器を持っている方が言う。
だが、この言葉を無視してセイドは
「なぜ、君たちはこんな所にいるんだ?あ、それと私達はセイクレッドの人間だ。間違っても、イモータルの人間じゃない。」
と言った。
「ざんねん。私達はイモータルの人間よ。だからセイクレッドとは敵対関係なの。わかった?」
と、武器を持っている方が、見下したように言った。
「なるほど。で、なんでジミー軍が止まってるんだ?」
「私達は、イモータルを裏切ったの。だから戦ってる。それだけよ。」
「なら、セイクレッドに味方してくれないか?」
完全にジミー軍は無視されている。
「いきなり言われても・・・いいわ。ただしあとで私の言うことを理解するって約束してね。」
「いいよ。わかった。じゃ今から君はセイクレッド兵だ。ジミーを討とう。」
そして、ジミー軍はおされ気味になってきた。
「くっ・・・退け!退けー!」
と、ジミーが叫ぶ。そして、ジミー軍は左折した。
「・・・この道・・・あやしいな。落石でもされたら・・・」
と言った瞬間、前で大きな音が聞こえた。
「やっぱりな。」
とセイドは納得した。
その時、上から矢が降ってきた。
「弓兵まで?」
とセイドが言う。
「急ぎ、城へ撤退しろ!このままじゃあ死ぬぞ!」
将が叫ぶ。だが後方には敵の伏兵がいた。落石と敵兵によって道はふさがれた。他に道はない。
「ええい!こうなったら、敵を殲滅するだけだ!」

と、ソルジャーが暴れだす。ギフトも一緒に・・・
「はっはっは!貴様らごときに、イモータルは破れん!」
と言っているのは火計から落石、弓兵の全ての策を考えた参謀、マッチであった。しかし、実行していたのはジミー軍だが。
しばらく暴れていると、セイクレッド軍本隊が来た。
「おお!これで助かった!」
と、兵士達は疲れきった声を上げる。
「先鋒隊!よくやった!後は任せよ!」
アーミィが叫ぶ。だが、ソルジャーとギフトが暴れたことにより、敵兵の半分は死んでいる。
「何っ、敵の後続部隊だと?くっ、これでは我が軍が挟撃されるではないか!」
崖の上でマッチが怒っているが、両軍ともそんなことは聞いていない、と言うより聞こえない。
敵を殲滅した後、先鋒隊がさきほど落とした城、一本城に全軍が向かった。
死者は少ないものの、負傷者が数えきれないほどいる。本隊はこの負傷者の手当てに追われた。
この忙しさは夜も続いた。
そして、アーミィが少し休憩を取ろうと兵糧庫に近くに座り込んだ。
「ふう・・・」
とため息をついて、眠りについた。
その時を待っていたとばかりに、近づいていき、剣をアーミィの首へ・・・
ザクッとやられたのは、アーミィではなく、殺そうとした『刺客』本人だった。
「惜しかったな、刺客よ。俺は最初からわかってた。」
と言い残し、負傷者の手当てに戻った。

刺客

「ザクッ」
とやられたのはまた刺客。
「やれやれ。手当てが終わったら今度はこれか・・・」
セイドがため息をつく。
「そうだ。そういえば君たちの名前を聞いてなかったな。」
と、セイドが思い出したように聞く。
「私がアイリーン・アーネスト。こっちがチェリー・グレイス。」
と、武器を持っている方、アイリーンが言った。
「ところで、ここにいいワインない?私、ワイン好きなんだ。」
アイリーンが聞く。
「そんなのは知らない。私はアルコールは駄目だからな。」
と、セイドが答える。ここにはソルジャーとギフトはいない。刺客を捜しに行ったらしい。
「ふーん。アルコール駄目なの。じゃ、いいわ。戦の時、言ったわね?私の言うこと理解してくれるって。」
「ああ。で、何を理解すればいいんだ?」
「私達が、イモータルを裏切ったわけを理解してくれれば。」
「わかった。じゃあ言ってくれ。そのわけを。」
「うん。じゃ、話すわね。」
「実は、チェリーの父親と私の父親は戦友で、すごく仲がよかったの。チェリーの父親は魔道将で
、どんどん階級が上がっていって、それを誰かが、妬んでたんでしょうね。チェリーの父親は自分に身に覚えのない罪を問われるようになって、チェリーを逃がすことにしたのよ。そのとき、戦友であり、大親友である私の父親も殺されるかもしれないって考えて、私にも逃げるように言ったってわけ・・・」
アイリーンは悲しげに言った。それを聞いてセイドは
「・・・ごめん・・・」
とあやまった。
「私が話したんだから、あやまる必要はないわ・・・」
そのとき、どこからか火が上がっていくのが見えた。
「兵糧庫が焼かれてるぞー!」
という声も聞こえる。
「兵糧庫へ行くぞ。チェリー、戦える?」
セイドが聞くが、チェリーは
「誰かいてくれれば、戦えますけど・・・」
と言っている。
「チェリーは魔法でしか戦えないし、まだ、そんなに強くないから・・・私がついていきますよ。」
アイリーンは言うが、セイドは
「いや、私がついてく。アイリーンにはソルジャーと一緒に城門へ行ってくれ。おそらく敵の予備軍が来るはずだ。兵糧庫が燃えているのはその合図だろうから。」
と指示した。
「わかったわ。」
と、アイリーンは
承知した。
「さて、ギフトはどこに行ったのかな。・・・まあいいや。刺客を倒してもらえば。じゃ、チェリー、城門の上へ行くからついてきて。」
と、セイドが言う。
このとき、ギフトは
「ちくしょう。てめぇらごときに、この兵糧庫に近づけるかよ!」
と叫んでいた。
一方、ソルジャーは、ちょうど城門の近くで刺客と戦っていた。
しばらくして、セイドの言っていた予備軍が来た。城門を壊そうと衝車が攻撃している。
アイリーンが来たときは、ちょうどそのときだった。
「・・・まだ、遅くはない。・・・ソルジャーさん!」
と、アイリーンが呼ぶ。
「おう、娘っ子!城門の奥に敵軍がいるようだが、俺と娘っ子がいれば、城門が破壊されても突破できんだろう。共に戦うぞ!」
ソルジャーが叫んでいる。
「はい。でも、衝車はどうやって壊すんですか?」
と、聞いているが、ソルジャーは
「さぁな。城門を開ければいいんじゃないか。」
と、適当に答えている。これを聞いていたセイドは
「チェリーが魔法を使えるそうだから、魔法で壊す。城門はそのあとで開ければいい。」
と、言っている。
「じゃあ、早く壊さないと。」
と、チェリーが急かす。
「わかってる。じゃ、登ろうか。」
と、セイドが同意する。
城門を登りきり、チェリーがなにやら呪文を唱えている。
唱え終えたあと、暗い闇の中にある衝車が赤い光を放つ。
「くっ、衝車が燃えた?奴らの中に魔道士でもいるのか。」
敵兵が言っているのが、セイド達にもよく聞こえた。
「お〜し。門を開くぞ!」
と言ってソルジャーが城門に手をかけて、開いていく。
門が開いたとき
「お前ら、かかって来いよ!俺が全員切り捨ててやる!」
と挑発した。挑発を受けて敵兵は
「馬鹿め!たった1人で何ができる。いくぞ!」
と、のってきた。
「馬鹿はお前らだ!娘っ子、いくぞ!」
「はい!」
「大丈夫かな。たった2人で。」
と、セイドが疑問を抱く。
「アイリーンは私と違って強いから大丈夫ですよ。」
と、チェリーが答える。だが、その声には、隠そうとしても隠しきれない『疲れ』があるのに、セイドは気づいた。
「私はチェリーも心配だな。その疲れを隠そうとするなんて。」
と、言う。
「大丈夫です。それよりも、あの2人を心配しないと。」
と、受け流そうとする。
そんな会話をしている間に、城門には死体の山が壁となり、血の雨のよって出来た、血の川が流れていた。これによって、かなりの量の兵士を殺したのだと考えられる。
「なんだ、もう終わりか?俺達はまだまだ元気だぜ。」
と、ソルジャーが言っているが、実際には相当疲れている。疲れを隠すために、強気でいようとしているのだ。
そんなこんなで、敵軍は退いていった。
兵糧庫に火の手が上がったとき、兵士は動揺しており、それを落ち着かせるためにアーミィは走り回っていたのだが、敵軍が退いたとき辺りで、やっと終わったのだ。
ギフトは刺客の殲滅をしたので、ひましていた。
「ふあああ・・・寝てよっかな。」
などと、のんきなこと言っている。そして、寝てしまった。今一番眠りたいのは、戦っていたソルジャーとアイリーンだろうに。