エクメーネ城の戦い(追撃編)
落石
「ドドドドドドド」
セイクレッド騎士団、ブライト聖騎士団はイモータル軍の追撃中。
「なに?道が二手に分かれているのか。面倒だな。右へ進め!」
ヴィクトリィが言った。
「・・・道が分かれているか・・・。左に進め!」
エドワードが言った。エドワードは正解で、イモータル軍は左の道へ逃げたのだ。この道はイモータルの都、エクメーネ城へとつづく道なのだ。
ブライト聖騎士団は、しばらく進んで、止まった。
「くそっ!行き止まりか!引き返せ!」
ヴィクトリィが言うが、後方まで命令が行き届かない。
結局、戻るだけで一時間近くかかってしまった。
「これではセイクレッドに遅れをとることになる・・・。急げ!」
正解の道を進んだセイクレッド騎士団はというと・・・。
「フレイムか!」
道の先には大軍がいるようで、その先頭にはフレイムが馬に乗っていた。
「エドワードか・・・。一騎討ちの決着、まだ付いていなかったな。」
「ああ、今ここで、一騎討ちをやるか?」
「いいだろう。だがな・・・。」
フレイムが手を上に向かって振った。それは合図で、またたく間に騎士団の背後には岩、石、ゴミで壁が造られていた。
「逃げるな・・・ということか。そんなことをしなくても、私は逃げないぞ。」
「エドワードが逃げないことはわかっている。邪魔ものが来ないようにしたんだ。」
「そうか。」
エドワードは後ろを振り向いた。
「お前達、私とフレイムの一騎討ちの邪魔をするな!」
と言って、再び前を向いた。
「さ、フレイム。行くぞ!」
「ああ、私にも使命があるのだ!負けられん!」
エドワードとフレイムは何十合も打ち合い、互いに疲労の色を隠せなくなっていった。
「くっ。」
フレイムの槍がエドワードの槍を折った。上手い具合に槍のもろい部分を叩いたのだ。
「どうした?エドワード。これだけか?まだ出来るはずだ!」
フレイムは、馬から落とされたエドワードを見下ろす。
「まだ・・・だ・・・。・・・・・・だが・・・・・・・・・!」
エドワードが力なく倒れた。フレイムはまだ見下ろしている。
「まだ出来る。お前なら・・・。」
「私は・・・・・・」
「・・・もう駄目か。仕方ない。お前みたいな強い奴と一騎打ちしたの、面白かった。じゃあな・・・。」
フレイムの槍が、生にしがみついているエドワードの背を突き刺した。エドワードは空をつかみ、上げた右手を下ろした。いや、落とす、の方が正しいかもしれない。
その様子をフレイムはただ、見つめているだけだった。
「エドワード・・・・・・・・・。」
フレイムは振り向いた。
「お前ら、よく聞け!あそこにいるセイクレッド騎士団には、一切手を出すな!手を出した者はこの私が斬る!」
この言葉に、フレイム部隊の兵はビクッとした。フレイムの声がマジ声なので恐いのだ。
「・・・退くぞ!本軍に遅れるな!」
フレイム部隊は撤退していった。セイクレッド騎士団はそれをただ、見送るだけだった。
単騎守備
「タタタタタ・・・」
セイクレッド、ブライト軍は追撃している。ブライト聖騎士団は戻って左の道を進み、ゴミの山をどけていた。落石の跡である。
ゴミ山のゴミをどけ、ゴミ山はなくなった。
「道は開けた。さあ、進むぞ。」
ヴィクトリィが言った。
伝令が来る。
「伝令!セイクレッド騎士団がこの先にいます!」
「何っ!」
ヴィクトリィは走り出した。馬に乗っているので、途中、味方の兵を蹴り飛ばしそうになった。笑い事ではないのだが。
「こんなところで何故、止まっているのだ?」
騎士団の兵が一人、歩み出て
「・・・エドワード将軍が・・・・・・敵将、フレイムの手に・・・」
言い終わらない内に、ヴィクトリィは走っていた。
エドワードを見付けた。ヴィクトリィは馬から飛び降りる。
「おい、エドワード。しっかりしろ!お前に死なれては困る!おい!」
ヴィクトリィはエドワードの体を揺さぶる。だが、エドワードは揺れるがままに揺れるだけで、ピクリとも動かない。
「団長・・・。」
スプレンダーが出てきた。
「スプレンダーか・・・。見苦しいところを見せてしまったな。死んだ者はもう、戻って来ないのだ・・・。」
ヴィクトリィは振り向きもしない。
「団長・・・。」
「さ、追撃するぞ。エドワードの仇を取らなければな。」
ヴィクトリィとエドワードは、実は仲がいいのだ。よき競争相手として。
セイクレッド騎士団については、ヴィクトリィが責任を持って、指揮をする。
セイクレッド騎士団、ブライト聖騎士団はエクメーネ城にたどり着いた。
「団長、私は本軍が来るまで待つべきかと・・・。」
「ダメだ。エドワードの仇を取りたい。スプレンダーはここで待っていれば・・・。」
「・・・わかりました。」
スプレンダーはいやいや承諾した。
ヴィクトリィの部隊が進軍しているその様子を、スプレンダーは心配そうに眺めていた。
「追い込まれているからこそ、人はあがくもの・・・。甘く見ると負けてしまうかもしれないのに・・・。」
「スプレンダーはああ言っていたが、敵兵の姿は一人も見えないな・・・。」
そこが返って不安なのだが。
「ん?吊り橋が下ろされているぞ?」
「伝令!吊り橋に敵将が一人います!」
「そうか。よし、攻撃するぞ。敵将の一人や二人、我らで倒せる。」
・・・結果はヴィクトリィの負けだった。敵将はもちろん、ゼロスである。だがここは東側で、南側はフレイムが守備している。
「下がれ!我らでは勝てん!」
聖騎士団はスプレンダーの陣へ退いた。
「スプレンダー・・・。失敗だ。」
情けない顔で言った。
「まあ、わかってましたけど・・・。」
「そうか・・・。見習わないとな・・・。」
ヴィクトリィは辺りを見渡し
「兵が多いな。本軍が到着したのか?」
「はい。国王も来ています。」
「では、あいさつくらいはしていくか。」
さて、エドワードの死体はどうなったか。
「エドワードの遺体は埋めたな。・・・・・・」
アーミィが確認する。言いたくはないのだが、あえて言ったのだ。
「よし、もういい。戦で死んだ兵はいくらでもいるのだ。たった一人の人間の死に悲しんでいるヒマはない。」
冷たいと思うだろうが、これが一国の王の言葉である。こうでないと、全兵士に公平に接することなど無理なのだ。
ゼロスとフレイムのせいで、エクメーネ城内に侵入できない。難攻不落、しかも、大陸一の国の都だ。そう簡単には落とせない。
「ここでみすみす、勝機を逃すことになるのか・・・。」
セイドが呟いた。ソルジャーでも、まだゼロスと戦いたくないそうだ。