枯山の戦い

水計

「タッタッタ・・・」
兵士の走る足音だ。
このアーミィ軍は現在、枯山へ向けて進軍中。セイド軍は枯山城へ進軍中だ。
枯山へ向かっているのは、アーミィ、ギフト、そして5000の兵士。
「ギフト、枯山を守るは敵将軍、名将のフレイムだ。油断は禁物。今までのように、力だけで勝てる相手ではない。覚悟しておけ。」
アーミィが馬を早足で歩かせながら言った。だがギフトの方を向いてはいない。
「わかってる。だが、俺は相変わらず頭はよくない。計略の方は任せるよ。」
ギフトはアーミィの方を向いた。アーミィはギフトには目も向けずに
「ああ。」
と、答えた。
「国王、もうすぐ、枯山の麓につきます。」
ずっと前にいた伝令が戻ってきて、言った。
「そうか。敵はどこに布陣している?」
アーミィはいつもの決まりごとのように、すぐさま聞いた。
「はっ。山頂付近に布陣していますが、水は完全に確保されています。」
「なるほど。水をふさげられれば簡単に負けるということなど、敵にはわかりきっているか。」
馬謖のようにはならない。
こんな会話をしているうちに、枯山の麓に着いてしまった。山頂を見上げると、小さな旗が見える。いや、実際は大きいのだろうが、距離がかなりあるということだ。
「よし。このあたりに陣を布け!」
アーミィが命令すると、兵士がせかせかと動き始める。
アーミィはそんな光景よりも、山頂近くを見上げた。
「旗の数からして、そう兵士は多くないだろう。だが油断はできない。敵は地形を把握しているだろうからな。・・・さて、ギフト!」
いきなり呼ばれて、ギフトは飛び跳ねた。だが、すぐにアーミィのもとに来て
「何か?」
と、言った。
「ギフト、ここから敵の旗が見えるだろう?旗の数からして、兵士も多くはないだろうが、なにしろ敵将はフレイムだ。どんな仕掛けが待っているかわからない。こんな状況下で、ギフトならどうする?」
アーミィは聞くが、ギフトにそんなことがわかるわけがない。だが、ギフトは答えた。
「奴らの動きを見ればいいんじゃないか?なにも、こっちから動かなきゃいけないわけでもないし。」
ギフトらしからぬ言葉だった。これにはアーミィも驚いた。
「それはいい案だな。では、敵軍の動きを探るとするか。」
驚きを隠しながら、アーミィは言った。
しばらくして、布陣が終わり、アーミィ達は休むことにした。
ところ変わって、イモータル陣。
「水計はもう出来るか?」
フレイム将軍が聞く。威厳があるので、兵士は一瞬、恐怖を感じた。
「はい。御命令があれば、いつでも出来ます。」
「よし。敵は布陣し終わり、まだ、警戒しているだろうが水計を始めろ。」
「はっ。」
兵士が走っていくと、フレイムは
「全軍、進軍準備をしろ!」
と、命令も兼ねて叫んだ。

しばらくして、水が流れてくるのが見えた。・・・ここはセイクレッド陣である。
兵士達に動揺が走る。水はたいした速さではないので、なんともないのだが、兵士は、今度はもっと大きな、津波でも来るんじゃないかと、考えるからだ。
「兵士達が動揺しているな。おそらく、敵が来るだろう。皆、そろそろ敵が来る!急ぎ、迎撃準備をしろ!」
アーミィが命令した。と、同時に、ほんのわずかな兵が出てきた。
「奇襲部隊か・・・皆でかかれ!」
「おー!」
だが、すぐさま本隊が来て、兵士はまた動揺した。
「ちっ・・・。全軍、一時退却!」
その言葉を待っていましたと言わんばかりに、兵士が退きはじめた。
「よし。伏兵にて、敵を挟撃する。お前の部隊はここで隠れていろ。直に火の手が上がる。それを合図とし、攻撃を開始しろ。」
アーミィは、こんな時でも策で対抗する。混乱した兵を破ることなど、たやすいことだ。
「はっ。」
と、返事すると、将は走り去っていった。
しばらく退いて、セイクレッド軍は火で敵の進軍を遅らせることにした。
だが、イモータル軍は、川の水をかけ、火を消し、すぐに進軍開始。セイクレッド軍は退いているが、イモータル軍の背後をついている部隊が戦闘を開始したことから、攻撃し始めた。
「何っ!?敵に挟撃されているだと?・・・アーミィめっ!」
叫んでも、アーミィ軍の士気が下がるわけでもない。
・・・策は見事に成功し、イモータル軍はほぼ全滅。生き残った者も、降伏したのがほとんどで、フレイム将軍と、わずかな兵は、逃亡していった。