退路確保!

伏兵襲撃

「ドドドドドド」
フュリアス部隊は突撃隊形でロンリー高野を走り回っている。
斥候がフュリアスに近づいて来た。無論、騎兵である。
「フュリアス将軍、森に敵兵らしき姿を確認しました。」
敵兵かどうかは全くわからないが、隠れているなら敵の伏兵だろうと判断したのだ。
「何?敵だと?よし、その森へ行くぞ!突撃!」
ワイルド山での戦いは敗戦だったし、山岳地帯で自由に動けなかったから、高野や平野のように自由に動き回れるのがうれしいらしい。
「敵か・・・?いつでも攻撃できるようにしておけ!」
伏兵のギフトは、何かがこっちに来ているので、兵に攻撃態勢をとらせた。
ソローは、何故だかギフトよりも下級の兵なので、命令できないのだ。
フュリアス部隊は猛然と伏兵部隊に向かってくる。
「くそっ!敵だ!草木に隠れて迎撃するぞ!」
ギフトも木に隠れた。
ソローは茂みに隠れた。敵の足を斬るのだ。
フュリアス部隊が茂みに入る。
「かかれ!」
ソローは命令した。一応隊長格ではある。
茂みから薙刀やら槍やらが来るので、突撃の勢いはほとんど残っていない。
「敵の勢いは消えた!かかれ!」
ギフトが言うと、木に隠れていた兵は飛び出してフュリアス部隊にかかっていった。
「ちっ、この程度に苦戦するな!数では俺らの方が勝っているぞ!」
フュリアスはそう言いながらも、自分の身に危険を感じていた。
このままでは負ける。自分は捕らえられるか、もしくは死か・・・。
伏兵で大混乱となったこの部隊の命は恐らくないだろう。全滅はまぬがれない。
「てめえ、ギフト!」
フュリアスは叫んだ。
この二人、セイクレッドのアーマメント攻略時に一騎討ちをしたのだが、ギフトが逃げて終わったのだ。
「今度は逃がさねえぞ!」
フュリアスはギフトに槍を突き出した。
ギフトはそれを軽々と避け、フュリアスを斬った。
だが鎧に当たっただけなので、意味はなかった。
「久しぶりだな、フュリアス。」
「貴様をこの手で討つことをどれほど夢みたことか。」
「さ、早く決めようぜ!」
ギフトはフュリアスの馬を斬ろうと走った。
フュリアスはギフトの剣を槍で押さえてから、何十合も打ち合った。
しだいにギフトは疲れていき、隙ができた。
「ハアハア・・・どうした?早く来い!」
「疲労してもなお、そんなことが言えるのか?」
フュリアスは隙を突き、ギフトを刺した。
「くそっ!・・・ぜ・・・全隊退け!早く!」
「遅かったな。お前らが待ってたフレイム軍のご到着だ。」
「俺が・・・こんな奴・・・に・・・・・・負け・・・・・・・・・。」
フュリアスはギフトをもう一度刺す。
ギフトは剣を力なく落とし、自らも前にバタリと倒れた。
「これで、俺らアーマメント軍もイモータルに認められるな。」
フュリアスはほくそ笑んだ。
「残りの敵兵を始末しろ!」
フュリアスの命令は戦場でも響き渡るかのようだった。

大逆転

「カキンカキン・・・」
フレイム、フュリアス軍に包囲されたセイクレッドの伏兵部隊はギフトを失い、士気も大幅に低下していた。
フレイム軍にはドリズルも加わっており、伏兵部隊の全滅はまぬがれない。
ギフトが死んでも死ななくても、ソローは奮戦していた。
「あれはフィリップ!覚悟しろ!」
ソローはフィリップの姿を見つけると、猛然と走り出し、フィリップに斬りかかった。
フィリップの護衛など薙刀の一振りで倒した。
「覚悟しろ、フィリップ!」
「だ、誰か助けてくれ!ひー!」
近くの兵がフィリップを守りに来るが、ソローの敵ではない。
ソローが薙刀を振ろうとしたその瞬間・・・。
ガキッと鉄同士がぶつかり合う音がした。
「しょ、将軍!」
「フィリップ。味方の兵の群れへ逃げろ。」
フレイムである。騎乗してはいなくとも、なんとなく将という感じがし、目立つ。
「待て、フィリップ!それでも男か!」
「待て。貴様の相手はこの私だ。」
そう言ってもソローは無視するので、フレイムは槍を突き出した。
ソローはそれを薙刀で受け流し、瞬時にフレイムの腕を斬った。
「ぐっ・・・。」
斬った、といっても、切断するほどではなく、包帯でも巻いて数週間すれば治る程度の傷だ。
ソローはフレイムの馬を蹴り、フレイムを転倒させた。
「フィリップ!一族の仇!」
ソローは敵兵の群れの中を走り回っていき、フィリップを探した。
フレイムと馬は立ち上がった。
「あの女・・・。フィリップなら大丈夫だろう。皆、このまま猛攻を続けろ!」
伏兵部隊は全員が奮戦し、また集結しているので、なかなか簡単には倒せない。
ソローが敵兵の中で大暴れしているとき、ヴィクトリィ、ジョーンズ軍がロンリー高野へやって来た。
「戦が起きてんのか。セイクレッドか。よし、セイクレッド軍を救出するぞ!」
ヴィクトリィは命令した。
ヴィクトリィ軍の援軍はフレイム、ドリズル軍を混乱させた。
フレイム、ドリズル軍は退かざるを得なくなってしまった。
フュリアスはドリズルの姿を見つけた。
「大将!俺が殿軍をするから、大将は早く逃げろ!」
「二回目の殿か。任せたぞ!」
フレイムはマッチの姿を見つけた。激戦となったため、マッチとは離れてしまったのだ。
「フレイム将軍、ここは私にお任せあれ。」
「だが、お前が危険では・・・。」
「将軍が生きなければ意味がない。将軍は皇帝の力になってください。」
「わかった。危険になったらすぐに逃げろ!」
「はっ。」
フレイム、ドリズルの部隊はアバンダンス平原へ向かい、マッチ、フュリアスの部隊はここでヴィクトリィ軍と伏兵部隊の足止めをする。
だが、ヴィクトリィの勢いには勝てず、止む無く退いた。
追撃はあったが、やがてヴィクトリィ軍、伏兵部隊は東へ方向転換した。
アバンダンス平原のブライト軍は東に陣を敷いているのだから、当然だ。