イモータル三方包囲作戦会議

無事退却

「ギギギギギギ・・・」
牙城の城門が開かれた。
セイド軍は無事に牙城まで逃げ延びたのである。
「セイド、大丈夫だったか?」
城門にいるアーミィが聞いた。
「はい。しかし、魔学都が陥落した。」
「もう救いようのないほどやられていたのだ。仕方がない。」
「私の力不足でこんなことに・・・。」
珍しくセイドは自分を責めている。
「セイド、ブライトの仇、取ってくれ。」
「私にできることなら。」
「まあ、こんなところでの話ではない。一旦、中へ入ろう。」
「はい。」
作戦会議室には、セイクレッドの名だたる将達が待っていた。
「遅れてすまん。さ、作戦会議といくか。」
アーミィはそう言って、続けた。
「同盟国、ブライトが滅んだ。その仇は俺らが討つべきだから、仇のイモータルを滅ぼす。ついでに大陸も手に入れる。」
セイドは、そういえば、ヘイムの姿がないことに気付いた。
だが、今はそれを聞くときではない。後で聞こう。
アーミィはまだ続ける。
「今、本国側のホーリーはヘイムが守ってる。イモータルを三方包囲する形をとるから、あとは北と東側だ。北は俺、東はセイドの軍だ。」
テラーが手を挙げた。
「テラー。」
「おう。西と北の大将はわかる。だがなんで、東の大将はセイドなんだ?」
「セイドは旧ブライト領を歩いていたからだ。地形を知っているから大将にした。」
「・・・わかった。」
「セイド、誰か、自分の軍に入れたい奴はいるか?」
アーミィは聞いた。
「私は・・・ソルジャーを指名する。」
「父だからな、それもそうか。では、俺はテラーとロイアルを指名する。」
ロイアルを指名したということは、アイリーンを指名したも同じことだ。
アイリーンは位がこの会議に出るほどは高くないからで、ロイアルの子だからだ。
ソローもこの会議に出るほどの位ではない。
でも、アウトローは出席している。
「アウトロー、どの軍に入る?」
セイドは聞いた。
アウトローは今まではセイドの下にいたが、今では他の軍にいてもいい位なのである。
「あー・・・アーミィの方にいくわ。」
「そうだな。たまには他の軍にいるといい。」
この後も会議は順調に進んだ。
セイドはソルジャー、ソロー、ウラヌスを連れ、魔学都へ向かうことになった。
アーミィはテラー、アウトロー、ロイアル、アイリーン、を連れ、エクメーネ城に向かうことになった。
ヘイムは一人でホーリーを守るのである。・・・寂しい・・・。
セイド軍の疲労を考慮して、進軍は明後日となった。
ただテラーは暇だからと言って、騎士団を連れて、真っ先にイモータル平原北部(仮)に行った。

牙城にて休憩中

「ヒュウゥゥゥゥ・・・」
牙城の風は強い。
これでは寒くて室内にいなければならないではないか。
まあ、今は休憩中なのだが。
ソローはセイドを見付けた。
「セイド、レイニー平野の戦いのことなんだけど・・・。」
「母さん?何の用だ?」
「余り言いたくないけど・・・ギフトが・・・。」
「ギフト?・・・最近見かけないが、どこにいる?」
「ギフトなら・・・ここにはいない・・・。」
セイドはソローがためらっているのを見て、直感した。
「・・・・・・死んだのか?」
「・・・・・・そう・・・・・・。」
「・・・ギフト・・・。」
セイドは後ろを向いた。
「セイド・・・。」
「これからは、味方の将が死んでも、ためらわずに言って欲しい。」
「わかったけど・・・。」
「私は後悔などしない。悲しむ暇もない。」
セイドは自分の部隊のところへ行った。
「よっ、セイド。・・・どうした?顔色悪いぞ。」
セイド部隊のところにアウトローがいた。
すっかり慣れているのである。
「顔色が悪い?私がか?」
「ああ、そうだよ。大丈夫か?」
「お前にそんなことを言われるようになるとはな。私も成り下がったものだ。」
「そんなこというなよ。せっかく心配してやったってのに。」
「そうだな。すまなかった。」
「セイドも謝るんだな。」
セイドは自分の部隊の中で休み始めた。
やはり自分の兵といると落ち着く。
歴戦の兵ばかりだから、過去の戦などを振り返れる。
「アウトロー。」
「なんだ、セイド?」
「ギフトが死んだ。」
「へ?なんだって?」
いきなり言われれば、困惑するのも当然だ。
「ギフトが死んだのだ。」
「ギフト・・・あいつが?」
「そうだ。」
「な・・・なんで?なんで、あいつが死ななきゃいけねえんだ?」
「死んだのだ。私も詳しくは知らない。」
「どこで?」
「母さんが知っていたから、ロンリー高野だろう。私が伏兵として、そこに向かわせたのだ。」
「セイド・・・お前が殺したようなもんじゃねえか・・・。」
「そうなるな。」
「・・・・・・。」
「どうした?殴るなり蹴るなりするといい。」
「止めとくわ。・・・ふう、セイドの冷酷さが移ったみてえだな。殴る気にならねえ。」
「殴りたくなったら、いつでも殴ってくれ。」
セイドはそう言って、自分の部屋へ戻っていった。
牙城に吹く風はいつの間にか強くなっていた。