ホーリー防衛戦

敵援軍

「ゴゴゴゴゴゴ・・・」
南、東の城門が開かれ、影が走り出した。
西の陣陥落などにより、マッチ軍の士気はもはやなかった。
南、東の陣を奪うのは容易だった。
「・・・さて、あとは本陣だけだ。五万いるといっても、もう大したことはないだろう。」
ヘイム軍も被害はあり、今は三万である。
五万の兵で十万の兵を倒した代償としては軽いくらいだ。
「今は戦疲れを癒すといい。」
この休みは吉とはならなかった。
はるばるイモータル平原北部(仮)から敵の援軍が来たのだ。
フレイム、フュリアス、ドリズルの部隊である。
兵力は合わせて六万。これはきつい。
総大将をフレイムと改め、フレイム軍はホーリー城侵入に移った。
南の陣を奪い、城の南に攻城塔を設置しようというのだ。
「ヘイム将軍、南の陣が襲われていますが・・・。」
斥候は不安そうな声で言った。
「兵を助けに行け。陣は奪われてもいい。」
「はっ。」
城門が開いた。
ヘイム軍の部隊は南の陣の援護をし、退こうとした。
フュリアスが追おうとするのを、ドリズルが止めた。
「なんで止めんだ。」
「目的はこの陣を取ることだ。無駄に動いても被害が大きくなるだけだぞ。」
「・・・わかったよ・・・。」
フュリアスは不服そうな顔である。
このおかげで兵を助けられたのである。
城門も悠々と閉じていった。
それから数日後、城の南には五つの攻城塔が置かれた。
「さあ、ホーリーに入るぞ!攻城塔を進めろ!」
フレイムが命令した。
攻城塔はガタガタ動き出した。
前面には鉄板が付いていて、火矢が効かない。
攻城塔の一番上には弓兵がおり、城壁の敵を攻撃するのだ。
ヘイムは攻城塔が来るのを見ていた。
「フレイムも愚かだな。火矢準備!」
城壁の弓兵は火矢の準備をした。
・・・まだ攻城塔の兵には、城壁の人間は遠くて見えない。
弓兵は、城壁の縦の出っ張りに体を隠した。
ヘイムもである。
攻城塔が城に近づいていく。
敵が攻撃する前に、ヘイムは
「今だ!火矢を撃て!」
と命令した。
火矢が放たれる。
前面には鉄板があるので、鉄板のない側面を攻撃した。
攻城塔はどんどん燃えていく。
しだいに崩れていき、動かしていた兵を呑み込んだ。
フレイムはその様子が見えて、舌打ちした。
「失敗か・・・。敵が勢いに乗る前に退くぞ!」
きびすを返し、南の陣へ退いて行った。
「南、東の城門を開け!全軍突撃だ!」
ヘイムはそう言って、馬に乗った。
城門が開かれ、兵が飛び出す。
兵ではフレイム軍が上だが、ヘイム軍の方が勢いがある。
敵の援軍だけがヘイムの唯一の予想できなかったことだった。

皇帝様ご到着

「ワアアァァァ・・・」
南の陣は激戦区となっていた。
「このままではまずいな。退くぞ!」
フレイム軍は退き始めた。
「適当に追撃しろ!」
ヘイムが言った。
フレイム軍が本陣を通り過ぎると、道端の茂みが揺れた。
「伏兵か!突破しろ!」
フレイムは命令したが、隊の後方からはヘイム軍が来ていた。
東の陣も本陣も陥落したのだ。
フレイム軍は挟撃されたのだ。
だが、その危機的状況からの救いの手が来た。
前方に見える旗は・・・イモータルの国旗と・・・皇帝の旗印。
「皇帝が来るとは・・・。皇帝が来るぞ!奮戦しろ!」
フレイムは言った。
グロウ部隊はヘイムの伏兵を蹴散らした。
「皇帝!退こう!」
フレイムが言った。
「フレイムか。そうだな。退くぞ!」
グロウ、フュリアス、ドリズル、マッチ部隊が退く中、フレイムは立ち止まっていた。
イモータル軍がいなくなると、フレイムが立っていた。
「・・・逃げないのか?」
ヘイムが言った。
手で「手を出すな」と兵に命令した。
「ああ。お前がこの軍の大将か?」
「そうだ。お前は・・・ドリズルか?」
「いや、フレイムだ。」
「そうか・・・。色々殺してくれたからな、ありがたく思え!」
ヘイムは槍を突き出した。
フレイムはそれを軽々と避け、ヘイムの馬を突き刺した。
ヘイムは馬から落ちた。
フレイムは槍をヘイムへ走らせた。
だが、ヘイムは転がってそれを避けた。
ヘイムは立ち上がると
「まだやれる。」
と言って、槍をフレイムに向けた。
何十合も打ち合ったが、一向に決着がつかない。
「これで・・・終わりだ!」
フレイムが力一杯に槍をヘイムに向けた。
隙が大きいので、ヘイムはフレイムを刺せたが、疲れで力が入っていなかった。
「ぐ・・・。」
ヘイムはフレイムの槍に刺されたが、腕だったので死にはしなかった。
どちらも刺さり、腕からは血を流していた。
ヘイムは槍をまともに持てていない。
フレイムはそれを見て
「それでは戦えないな。私は退く。」
フレイムは走って帰っていった。
「ヘイム将軍!」
兵達が駆け寄る。
「大丈夫だ。・・・逃したか、フレイム・・・。」
怒りに満ちた声で呟いた。