暁光山砦の戦い(前編)

暁光山砦

「カラカラ・・・」
山から小石が落ちていった。
ここは旧アーマメント領のハイ山である。
アーミィは、敵はここを攻めてくるというので、ハイ山に城を築いたのだ。
暁光山にも、とりあえず砦を築いてある。
ハイ城の守備はセイドが任されていた。
セイド軍なので、アウトローとチェリーがいる。
それ以外はいない。
セイドはアウトローに会った。
「セイドか。」
「なんだ?暇だというのか?」
「それもあるけどな。・・・わざわざこんなところまで敵が来るか?」
「国王がそう言ったのだ。逆らってどうする?」
「こんな城をわざわざ攻めるより、ホーリーの方から攻めた方が早いじゃんか。」
「国王の軍がイモータル平原まで攻める。我らはここで敵の迂回路を断つのだ。」
「それまで待つのか・・・。暇だな。」
「なら剣術の鍛練でもしていろ。」
「やる気ないからさ。」
「・・・なら寝ていろ。」
仕事をしないのはもう当たり前となっていた。
アウトローが自分の部屋に戻っていった。
セイドは城壁まで行こうとすると、途中
「セイド将軍。」
と斥候に声をかけられた。
「なんだ?」
「フレイム軍がこちらに向かっております。」
「フレイムが・・・か。マッチもいるのか?」
「はい。」
「面倒だな・・・。また調べに行って来い。」
「はっ。」
斥候は走っていった。
「フレイムか・・・。結構殺されたからな。おわびに殺してやらないと。」
ヘイムやテラーと同じことを考えている。
・・・フレイム軍はハイ城を目指して進んでいた。
「将軍。」
斥候がフレイムの前にひざまずいた。
「どうした?」
「はっ。この先の暁光山の砦が空になっています。
「そうか。まずは陣を敷こう。対処はそれからだ。」
フレイムは進軍の足を速めた。

空の暁光山砦

「ガチャ」
扉が開いた。
「ノックしろ。」
セイドは勝手に入ってきたアウトローを注意した。
「まあまあ。フレイムが来たぜ。」
「そうか・・・。暁光山に気を取られているか?」
「そこまでは知らねえよ。ま、空だから来ないんじゃないか?」
「あえて来るかもしれない。ここを攻めるには絶好の拠点となるからな。」
「他の道は厳重に守ってるんだろ?」
「ああ。」
「なら暁光山に行くしかねえじゃねえか。悩んでどうすんだ。」
「そうだな。お前に教えられるとは、私も落ちぶれたものだ。」
「もうお前の嫌味には慣れたよ。」
アウトローは部屋から出て行った。
フレイムはマッチと話し合っていた。
暁光山についてだ。
「空となっているのは明らかに罠だ。どう攻める?」
フレイムが言った。
「他にハイ城への道を調べましたが、厚い守りです。」
「敵の足止めが目的とはいえ、長期戦は厳しいな。」
グロウの命令で
「アーミィが平原を攻めに来るから、援軍に行かせないため、他方の軍を攻めろ。」
というので、フレイムがハイ城を攻めることになったのだ。
旧ブライト領はゼロスに任されている。
「どうしますか?」
「・・・面倒だ。マッチ、暁光山砦に向かっていくれ。私があとからいく。」
おとりになれと言われて喜ぶ者はそういないだろうが、仕方ない。
「はい。」
「今夜には行こう。」
セイドが何をして来るかわからないからだ。
エドワードの仇と言って突進してくるかもしれない。
夜になった。
月明かりがとてもよろしく、フレイムの顔を渋らせた。
「・・・これでは後続部隊の存在を知られるな。」
まあ、雲が多く、風が強いので、たまに月が雲に隠れる。
マッチ部隊は暁光山砦へ向かっていった。
・・・セイドは暁光山砦の近くにいた。
「来たか。おとりか、力攻めか・・・。」
なんにしても、この砦に入ってくれればなんでもいい。
セイドは砦から離れた。
急いでハイ山へ向かった。
敵が砦に入る前に、着かないとならない所がある。
十本ほどの木に赤い布が巻かれている。
布といっても、ハチマキのようなものだ。
これが目印である。
「チェリー。」
セイドは目的の人を見つけた。
マッチ部隊が砦に入ろうとしている。
「セイド。砦に入ろうとしてるよ。」
セイドは振り向いた。
「ああ、そうだな。もう少し待ってくれ。全員入ったら、だ・・・。」
のろのろとマッチ部隊が砦に入っていく。
全員入っただろう。人影が見えなくなった。
・・・雲が月を覆った。
「今だ。やってくれ。」
チェリーは目をつぶり、小声でなにやら言っていると、空が紅に染まった。
炎は砦を包み、月を照らした。
「火計か!急げ!」
フレイムは舌打ちした。
マッチ部隊は、炎に包まれた砦で混乱していた。
「落ち着け!フレイム将軍がじきに来る!それまで落ち着いて待て!」
マッチはそう言いながらも、バタバタ走り回っている。
・・・一応作者の私と同じ名だから、そう簡単には殺さないでおくか。
フレイム隊は砦の門の所にあるがれきをどかし、マッチ部隊を助けた。
「早く出ろ!敵がいるかもしれない!」
フレイムは兵たちの脱出を促した。
「将軍!」
マッチはフレイムを見て、言った。
「早くしろ!」
フレイムはマッチを出した後も、残った兵の脱出を促した。
・・・死んだ兵は除いて、全員救助できた。
「まずいな。本陣に戻ろう。」
フレイム隊とマッチ部隊は本陣に戻っていった。