魔学都奪還戦(前編)
魔学都包囲
「ザー・・・」
ごくごく普通に雨が降っている。
ここは旧ブライト領、魔学都。
ロイアル率いる軍が来ていた。
ここにはゼロス軍がいる。
ロイアル軍はここまでは難なく来れたが・・・。
無論、ゼロスが兵を退かせたのだ。
無駄に戦うより、各地から兵を集め、数を増やす方がいい。
魔学都の城は、まだ陥落時の傷が癒えてなく、痛々しい。
「・・・来たか、セイクレッド軍。」
部屋の椅子に座っているゼロスは言った。
そのそばにひざまずいている兵は頭を下げた。
「はっ。総大将はロイアルです。」
「ロイアルか。裏切り者だったな、確か。」
ロイアルはジョンと、イモータル軍から離れたのだ。
「城外の兵を城に入れろ。守りに入る。」
「はっ。」
斥候が出て行くと、ゼロスは立ち上がった。
「・・・この城で守勢に、か・・・。ロイアルに負けはしないがな。」
魔学都は一度敵の手に落ちる、とゼロスあ予想した。
城外の部隊は全て魔学都城内に入った。
なので、ロイアル軍の魔学都包囲は容易いものだった。
「怖気づきやがって。すぐに城に入ってやるからな・・・。」
ロイアルは城壁を睨みつけた。
・・・雨で見えなかったが。
ロイアルは早速、城門を破壊しようと考えた。
破城鎚を作り、城門を壊すのだ。
数日して破城鎚は完成し、魔学都城門へ向かっていった。
ロイアル自ら護衛部隊にいる。
「破城鎚か。簡単に燃やすには惜しい。フィリップ!」
城壁から、フィリップを呼んだ。
呼ばれた犬のごとく走ってくる。
「なんですか?」
「城門から敵の破城鎚を破壊しろ。追撃はするな。」
「はっ。」
フィリップは城壁から下りると、自分の兵を集めた。
訓練されているだけあって、集めるのも早い。
城門が開かれた。
「なんだ?開けてくれたのか?」
ロイアルは驚きながら言った。
フィリップ隊が城門から出て来た。
「お出ましか。破城鎚を壊させんな!」
ロイアルは向かってくるフィリップ隊を攻めた。
・・・将の質から違うため、フィリップが勝てるわけがなかった。
「行くぞ!突破だ!」
ロイアル部隊はフィリップ隊を突破した。
ゼロスはその様子を見て
「城門を閉じろ!」
と言った。
城門が閉じ、ロイアル部隊の侵入を防いだ。
しかし、フィリップ隊は孤立してしまった。
「行けないか・・・。まずは奴らを叩き潰すぞ!」
ロイアル部隊は方向転換した。
・・・もう既に破城鎚は壊れている。
「ひ、退くぞ!北から城に入る!」
フィリップは言ったが、兵は絶望中のようである。
ロイアルは
「疲れたな・・・。本陣に戻るぞ!追わなくていいから。」
フィリップ隊はなんとか魔学都北の城門まで退くことができた。
・・・ゼロスが退かせたのである。
フィリップは、何か罰を受けるのは百も承知だった。
魔学都侵入作戦
「ザッ」
フィリップはひざまずいた。
「・・・どうした、フィリップ?」
「すみません!任務を果たしたとはいえ、この有様で・・・。」
フィリップ隊は壊滅状態なのだ。
「謝ることはない。今まで通りにしてくれ。」
「将軍・・・。」
ゼロスは、失敗すると思っていた。
しかし、フィリップはロイアルを退かせた。
過小評価し過ぎていたのだ。
まあ、被害が大きいと言っても、そんなに言うほどではない。
最初に出て行った兵が少ないので、今いる兵も少なくて当然だ。
だが、ほとんどの兵が重傷なので、酷い状態に見えるのだ。
「失敗などどうでもいい。奴らをどうするかの方が問題だ。」
ゼロスは後ろを向いた。
・・・ロイアルは悩んでいた。
城門をどうしても破れないからだ。
破城鎚は破壊されたから、他の攻城兵器しかない。
策でゼロスを城から出せる自信はない。
「そうだ。とことん攻撃し続ければいいんだな。」
そして、攻城兵器を多種、作り始めた。
攻城塔、破城鎚、天梯車・・・。
とにかく作りまくった。
とりあえず作り終え、魔学都攻撃に移った。
北に攻城塔、西に天梯車、南に破城鎚を置いた。
北にはウラヌス部隊、西はロイアル部隊、南にはアイリーン部隊がいる。
ソローはロイアル部隊に所属していた。
ゼロスはその報を受け
「包囲されたか。フィリップとジミーを呼んでくれ。」
「はっ。」
しばらくすると、フィリップとジミーが来た。
「来たか。ジミーは北、フィリップは南の敵を押さえろ。」
「押さえるとは?」
ジミーが聞いた。
「門を開き、敵を城門の近くで迎え撃つのだ。」
「わかりました。」
ゼロスとジミーは親子なのに、敬語で話すのは何故だろうか。
まだ作者もわからないことである。
・・・魔学都には東の城門がないので、そこからは攻められない。
ホーリーのように裏口があるわけでもないのだ。
ゼロスは西の敵を押さえるため、西の城門に兵を集めて行った。
城外では、並べられた兵器が物々しさを伝えていた。