イモータル平原の戦い(中編)

ソルジャー、慣れない役

「バサバサ・・・」
陣の天幕が揺れている。
ここは第一陣の所だが、ここにいるのはフュリアス部隊だった。
奇襲して奪ったのだ。
「さて、少し休むぞ!」
フュリアス部隊は休憩の時間となった。
「将軍。」
兵の一人がフュリアスの所へやって来た。
「どうした?」
「敵が迫っております。」
「面倒だな・・・。応戦するか。」
フュリアスは立ち上がり、兵の多い場所へ行くと
「敵だぞ!武器を持て!」
と言った。
セイクレッド軍の第二陣はヘイムである。
そのヘイムがフュリアス部隊に攻撃を仕掛けてきた。
フュリアスは
「さっさと敵将を倒して休もう」
と考えていた。
その願いは叶った。
敵兵を次々と切り伏せていたが・・・。
ただ一人、簡単に斬れてくれない奴がいた。
ヘイムである。
「お前、なかなかやるな。」
フュリアスは言った。
まだ「お前」が将であることを知らないようだ。
だが、ヘイムはこいつが敵将であることを知ったようだ。
「お前、敵将だな?」
「ああ、お前もか?」
「そうだ。」
・・・槍をガンガンやりながらの会話である。
「敵は邪魔なんで、動けなくしてやるよ!」
フュリアスはヘイムを殴った。
だが、ヘイムは倒れず、逆に殴り返した。
フュリアスは倒れたが、ヘイムは攻撃できなかった。
フュリアスの兵が矢を射たのだ。
「早く退くといい。この陣は返してもらう。」
フュリアスを見下ろして言った。
フュリアスは立ち上がり、逃げていった。
「追うな!奴らの退路はない!」
その通りだった。
別に第一陣が帰ってきたわけではない。
「くそ!伏兵か!」
フュリアスが第一陣を取ったとき、退路にソルジャーが行ったのだ。
そして、その付近で隠れていた。
無論、アーミィの命令である。
「オラ!フュリアス!この先は通さねえぞ!」
薙刀を振るいながら、ソルジャーは言った。
「あんな奴と戦ったら死ぬわ。突破するぞ!」
フュリアスは、なるべくソルジャーを避けて、道を切り開いた。
「逃がしたか。追うな、って言ってたしな。戻るぞ!」
ソルジャーは、国王である息子の命令に従った。
フュリアスは、テラー率いる第一陣も避けて本軍と合流した。

有能援軍

「カツカツカツ・・・」
馬の蹄の音である。
「来たか、フレイム。」
グロウは援軍を大歓迎した。
援軍はフレイムと、マッチ、ギルトである。
ハイ城でセイドと戦った軍だ。
マッチとギルトは軍を指定された所へ移動させていた。
なので、グロウと話しているのはフレイムだけだ。
失礼、ドリズルもいた。
「皇帝。戦況はどうなっていますか?」
「やれやれ。お前は戦のことしか頭にないのか。」
「そういう人間ですから。」
「・・・まあいい。戦況は少し押されている。ドリズル、頼む。」
グロウはななめ後ろのドリズルを見た。
「はい。テラーの騎士団に最前線は攻撃を受け、陣を取られました。」
「セイクレッド騎士団か・・・。」
フレイムは呟いた。
「そして、フュリアス将軍の敵陣制圧も失敗。今はこんなところです。」
「そうか。では、騎士団を退かせよう。私とフュリアスで行く。」
「フレイム、テラーはお前を目の仇にしている。大丈夫か?」
グロウが心配した。
「大丈夫です。私はそんな簡単には死にません。」
「では、フレイム将軍。フュリアスの元へ案内します。」
「わかった。」
フレイムとドリズルは、フュリアスの所へ向かった。
フュリアスは喜んで攻撃に賛成してくれた。
フレイムを大将とし、フレイム軍は騎士団に突撃した。
テラーはその報を聞いた。
「なんだと!?奴がいるのか?」
その剣幕は斥候を怯えさせた。
「は、はい・・・。確かにフレイムの旗印でした・・・。」
「よし!ここの奴らに伝えろ。全力で迎撃するようにな。」
「は、はい。」
斥候は逃げるように天幕から出ていった。
だが、そんなことはテラーはお構いなし。
いや、見えていないのだ。
やっとフレイムと戦える。
やっとエドワードの仇を討てる。
こんなチャンスは絶対に逃さねえ!
テラーの目は闘志と怒りと疲れで、とにかく恐ろしかった。
テラーはフレイムを待った。
「来たな、フレイムめ。皆、気を抜くなよ!まずくなったら逃げろよ!」
闘志を燃やしても、兵への気遣いは忘れない。
フレイム軍が呑み込む様に突っ込んできた。
どっちが呑み込まれているかはわからない。
とにかく交戦早々、混戦となったのである。
敵味方が入り乱れる中、テラーはフレイムを探した。
「フレイム!どこだ!?」
フレイムはその声が聞こえた。
「見付からないようにしないとな。」
と言ったが、大して動いていない。
「フレイム、いたな!」
動いていないからか、見付かってしまった。
「やれやれ・・・。こんな戦況でも私を見付けるとはな。」
「黙れ!おとなしく死んでもらうぞ!」
テラーは周りの兵など気にもせず、フレイムに突っ込んだ。
勢いで槍を走らせる。
フレイムは一度横へ倒れた。
「避けんな!」
「これも戦略だ。」
フレイムは微笑を浮かべた。
テラーは槍を引っ込めた。
フレイムは走った勢いの止まらないテラーを下から蹴った。
「くそ!」
「もう戦況もこちらの有利となった。どうする?」
「・・・いつか・・・いつか地獄に叩き落すからな!覚悟しとけ!」
テラーはフレイムが攻撃してくる心配もせず、後ろを向き
「退くぞ!もうここはいい!」
と言い、走り出した。
刺そうと思えば刺せたのだが、フレイムは刺さなかった。
「・・・次に戦うときが楽しみだな・・・テラー。」
フレイムは、返り血を浴びた兵達を後ろに、言った。