豊城入城
セイクレッド滅亡
「カツカツカツ・・・」
豊城の門は開いており、侵入は簡単だった。
あの五人、どこにいるかわからないが、その内見付かるだろう。
「・・・分かれよう。全員同じ所にいては見付からない。」
ゼロスの提案に、皆納得したようだ。
グロウは皇帝なので、ゼロスが付くことになった。
一応、これは遊びではないのだ。
皇帝を死なせてはならない。
グロウとゼロスは、天守閣へ向かうことにした。
アーミィがいるはず。
だが、ゼロスはソルジャーと決着を付けたい。
他の誰かがいたら、そいつに任せよう・・・。
天守閣への道の途中、フュリアスに会った。
「フュリアスか。ここからは皇帝を頼む。」
ゼロスは返事も聞かず、さっさと走っていった。
「返事くらい聞いてくれよな・・・。さ、皇帝、行こう。」
「ああ。」
グロウとフュリアスは、天守閣に入っていった。
二階には、テラーが待ち受けていた。
「皇帝、下がって。」
言われなくても、グロウは下がった。
「グロウを連れてんのか、フュリアス。」
「ああ。いいご身分だろ?」
自分に言うのは少しおかしい気がする。
「そうだな。さ、やるか。」
テラーは槍を横に振ってきた。
首に当たりそうなので、フュリアスはしゃがんで避けた。
フュリアスは座った状態から、テラーへと走っていった。
穂先は、ただ一直線にテラーの首を狙っていた。
ザクッ。
「残念だったな。」
テラーは言った。
左腕が貫かれていた。
「さすが、騎士団長だな。」
フュリアスの首に、テラーの槍が当たっていた。
「このまま殺して欲しいか?」
「皇帝の手前、負ける姿は見てもらいたくない。」
「だからといって殺さないわけねえだろ?」
テラーの右腕には、槍が刺さっていた。
「終わりだな。」
フュリアスは隙を逃さず、テラーの腹を突き刺した。
「二人がかりは卑怯じゃねえか?」
苦しそうにしながらも、テラーは笑っていた。
「そうだな。ま、二人で一人前ってことで。」
フュリアスの視線は、ドリズルへ向けられた。
「間に合ってよかった。フュリアスに死んでもらっては困る。」
ドリズルは穂先に付いた血を、服で拭った。
「・・・俺がアーマメントに行ってりゃ・・・お前らを殺せたのにな。」
テラーの最後の言葉が、これだった。
・・・その様子を見ていたグロウは
「俺のときは、誰も邪魔しないといいがな。」
と言った。
・・・ゼロスは、ただひたすらに街中を走っていた。
その手には、いつもの槍はなく、別の槍だった。
穂先が五つに分かれた、奇妙な形の槍だった。
鎧の音が鳴り響く中、ゼロスは立ち止まらなかった。
天守閣
「タッタッタッ・・・」
天守閣を登る三人は、とうとう最上階へ到達しようとしていた。
最上階は、屋上となっており、柵で囲まれていた。
「・・・結構早かったな、グロウ。」
アーミィが立っていた。
隣にはヘイムもいた。
「なんだ、一対一じゃないのか?」
グロウが言った。
「そんなことは言っていない。五人と四人で戦うと言った。」
「よし、フュリアス、ドリズル、隣の奴を任せた。」
「はっ。」
「俺はアーミィをやる。」
「その二人の相手は、この俺か。面倒だな。」
ヘイムが呟いた。
アーミィはヘイムから離れた。
「グロウ。俺らは王だ。最後に戦うのがいいんじゃねえか?」
「そうだな。では、待つとするか。」
グロウは後ろへ下がった。
フュリアスの槍は、ヘイムの左手に掴れ、折られた。
ヘイムはフュリアスの右腕を、槍で刺した。
ドリズルの槍は、軽く身を傾けて避けた。
フュリアスは剣を抜き、ヘイムの首へ走らせた。
ヘイムは、左手でそれを掴み、力ずくで奪い、放り投げた。
ドリズルが間髪いれずに槍を突き出した。
ヘイムの槍がそれを弾き飛ばした。
「どうした?武器がもうないぞ?」
ドリズルは帯剣していないのだ。
「・・・まだあるぜ。」
「どんな?」
「これがな!」
フュリアスはヘイムの顔面を殴りつけた。
ヘイムはよろけた。
すかさず、ドリズルがヘイムの槍を奪う。
首に冷たいものが触れた。
「・・・これで終わりだ。」
ドリズルは手を引っ込めなかった。
血がよく吹き出てきた。
ドリズルは目をつぶり、返り血を浴びた。
目を開けたとき、ドリズルの顔は鬼のようだった。
「さあ、終わったぞ、アーミィ。」
「ああ。やるか。」
フュリアスとドリズルが、邪魔にならないように下がる。
アーミィは走り出した。
グロウは、槍を強く握り直した。
ヒュッ。
空気は真っ二つに切れた。
ガンと音がし、両王が睨み合っていた。
「もう歳かと思ったぞ。」
「いやいや、お前を倒すには充分だ。」
アーミィが後ろへ下がると、グロウは走り出し、槍を振るった。
アーミィの足を斬ったが、アーミィは気にもしない。
傷は深いだろうが、アーミィはグロウの懐へ走った。
アーミィの剣は、確かにグロウの肩に刺さっていた。
グロウに殴られ、アーミィは下がった。
「首を狙ったんだけどな。」
アーミィは、口から流れる血を袖で拭った。
「運が悪かったんだろう。ここで死ぬのも、運が悪かったのだ。」
グロウの槍を、アーミィは避けなかった。
腹に勢いよく刺さったが、アーミィは驚かなかった。
話そうとすると腹が痛み、しゃべれない。
アーミィは後ろへ倒れた。
苦しそうな顔は、もう変わることはなかった。
「アーミィ、やっと終わったな。」
グロウの口調は、まるで遊び終わって疲れたような口調だった。
フュリアスはアーミィの苦しそうな顔を覗き込むと
「こいつは、これからずっと、苦しむんだろうな・・・。」
と、言った。
哀れむような口調でないのが、アーミィにとっては救いだったろう。
「・・・そういえば、ゼロス将軍は?」
ドリズルは言った。
アーミィは細かく震えていた。