「ブシュッ」
血の出るような、いやな音がした。
「ぐ・・・。サンディマ、何故こんなことを・・・?」
ヴェルダンの王、バトゥは、「グランベルが攻めてくるから、その前に攻めろ」と言ったサンディマに刺された。
「貴様にやり方では私の理想は築けん。私が王となる。」
「ぐ・・・。」
そこへバトゥの子、ガンドルフがやって来た。
「親父・・・。」
「第一王子か。私が王となるには、貴様ら王子が邪魔だ。消えてもらう!」
「ちょっと待て。俺は親父が殺したお前が憎い。だが・・・親父のやり方じゃこの世の中は変わらねえ。」
「・・・ふむ・・・ガンドルフよ、貴様の理想の国とはなんだ?」
「俺の理想は・・・皆が平和で自由に暮らせる国をつくることだ。」
「私の理想と近い・・・。ガンドルフ、私と共に理想の国をつくろうではないか。」
「ああ、いいぜ。」
「では、帝国と同盟を結ぶか。」
「どうやってだよ?」
「私は帝国のある教団の一員なのだ。」
「ちょっと待て。俺達はグランベルの奴らが攻めてくるから、その前に攻めたんじゃねえか。敵と同盟を結べるか?」
「我らが攻めたのはグランベルの端っこに過ぎん。帝国自体とは関係ない。」
「そうか。じゃ、俺は弟を助けに行く。サンディマは・・・。」
「私は船で湖を渡り、帝国へ向かう。」
「敵がいるんじゃないか?」
「敵軍は正面に集中している。隠れながら行けば大丈夫だ。」
「そうか。俺は行く。じゃあな。」
ガンドルフは途中、第三王子のジャムカに会った。
「ジャムカか。弟を助けに行くんだが、お前も行くか?」
「俺はこの城を守る。救援が必要なら言ってくれ。」
「わかった。」
ガンドルフは第二王子のキンボイスの援護にまわった。
キンボイスの下にはあのアイラがいるので、シグルド軍は苦戦していた。
そこへガンドルフが来たので、シグルド軍は押され、本城のエバンス城を落とされた。
その頃はエバンス城郊外でシグルド、キュアンの友、ノディオン城主のエルトシャンがハイライン城の軍と交戦中だったので、その救援に向かい、ノディオン城にいさせてもらうことにした。
サンディマはグランベル帝国皇帝、アルヴィスに会った。
「マンフロイ、この者は?」
アルヴィスは近くのマンフロイに聞いた。
「はっ。私めの部下で、サンディマといいます。」
「そうか。で、そのサンディマが何用だ?」
「はっ。私が所属するヴェルダンはこのグランベル帝国との同盟を望んでおります。」
「あの蛮族とこの帝国が同盟を結べと?冗談もほどほどにしろ。」
マンフロイはアルヴィスに耳打ちする
「確かにヴェルダンは蛮族の国です。しかし、それを手駒に大陸制覇を目指しては?」
「そうだな。よし、ヴェルダンと同盟を結ぼう。今ヴェルダンを攻めているシアルフィ、レンスター、ユングヴィを攻撃する。援軍も出そう。」
「はっ。ありがたき幸せに存じます。」
サンディマは頭を深々と下げた。
帝国軍により空き城同然のシアルフィ、レンスター、ユングヴィは落城した。
ヴェルダン軍はグランベルの要請により、トラキアを攻めた。帝国の援軍もあり、トラキアは制圧した。
帝国軍はイザーク、シレジアにも出兵し、制圧。
シグルド、キュアン、エルトシャンの軍は北上し、アグストリア、オーガヒルを制圧。
さて、ユグドラル大陸をアグストリアとグランベル、ヴェルダンが二分した今、この両国間に戦争が起きるのはあきらかだ。
「・・・では、アグストリア北部は我が軍が、南部はヴェルダン軍に任せる。」
アルヴィスはそう言って、自分の部隊へ戻っていった。
「いよいよだな。」
ガンドルフは歯を食いしばった。負けるものか。
「・・・アグストリア征伐は我らヴェルダンが大陸を制覇する戦。負けられんな。」
サンディマは独り言のように言った。
「?グランベルはどうするんだ?」
「もちろん、アグストリア征伐時にアグストリアと共に滅んでもらう。」
「そんな簡単に勝てるか?」
「・・・一番いいのは、アグストリアとグランベルが刺し違えることだ。そうすれば、どちらもヴェルダンのものとなる。」
「そうなることを願うか。」
帝国軍はシレジアから船でオーガヒルに、ヴェルダン軍はエバンス城からアグストリア南部へ向かった。
アグストリア南部は、エルトシャン率いるクロスナイツとラケシスの軍が守っていた。
ヴェルダン軍はガンドルフを指揮官とし、サンディマ、キンボイス、ジャムカ、アイラがいる。
エーディンとデューはジャムカが逃がしたので、アグストリア軍に付いている。
アイラを突出させ、残りの全軍が敵を潰す戦法に、クロスナイツは全滅、エルトシャンとラケシスはなんとか逃げた。
「よし、この勢いでアグストリアを制圧するぞ!進めー!」
ガンドルフは陶酔した。
アグストリア北部を守るは、シグルドを指揮官として、キュアン、エスリン、フィン、アレク、ノイッシュ、アーダン、レヴィン、フュリー、シルヴィア、エーディン、デュー、ホリン、レックス、アゼル、ブリギッド、ティルテュ、クロード、ミデェール、ベオウルフが主要な人物だ。
帝国軍はアルヴィスが指揮官で、アイーダ・・・他省略。ただ忘れただけだ。
帝国軍はオーガヒルを制圧したが、シグルド軍の猛攻に耐えられなくなっていた。
シグルドはアルヴィスに迷いなく突き進んでいた。
「アルヴィス、覚悟!」
「ふっ、反逆者め。」
アルヴィスはファラフレイムの魔道書を開いたが、その隙を突いてシグルドの、アルヴィスが与えた銀の剣が刺さった。
「ぐっ・・・愚か者が・・・。」
ファラフレイムが発動し、付近の人間は全て焼き尽くされた。
ガンドルフらが望んでいた、アグストリアとグランベルが刺し違えるということが実現した。
指揮官を失った軍など統率が取れていないので、後から来たヴェルダン軍に全滅させられた。
こうして、ガンドルフは大陸を制覇したのである。
・・・ガンドルフが天下統一するという、ありえないことを実現させてみたのだが、けっこう無理があったか。
ジャムカが裏切ればヴェルダン軍は壊滅しただろうし、アイラもイザークを攻めたグランベルに味方するとは思えない。
ま、私の想像に矛盾は付き物。